ブザーンチ(Бызаанчы)(ブザンチゥ)

 

モンゴルの四胡(ホーチル)と同種の楽器。ボディは筒状で片面には皮が貼られ片面は空洞なっている。皮はヤギや羊の皮などが多いが近年では魚の鱗など個性豊かなものが増えてきた。イギルやドシプルールなどと同様にネックの最上部に馬の顔や動物の彫刻が付けられているものが多い。弦はイギルと同様に繊維の束で作られている。奏法が非常に特異で左手の運指は下から上に向かって爪や指の背で行う。爪や指の背で上に向かって運指する楽器は世界的にみてもほとんどない。二胡のように左腿のつけねあたりに置いて弾く。調弦は内側から1、2、3、4弦とすると、2弦4弦同音にしてその五度下の音で1弦3弦を同音にする。例えば、ホーメイをCでする場合は2、4弦をCに合わせ、1、3弦はその五度下のFとなる。イギルの場合は内弦をCとすると外弦はその五度上のGとなる。ドシプルールは1弦がC、3弦が1オクターブ上のC真ん中の2弦は1弦から五度上のGに合わせる。ブザーンチの基音Cはドシプルールの3弦のCと同音になるのでイギルの内弦のCの一オクターブ上の音になる。